2013/01/08

《西洋薬と漢方薬の違い》

西洋薬(西洋医学の薬)と漢方薬には、下の表のように多くの異なる点があります。

それが、漢方薬が西洋薬にはない、いろいろな利点や可能性に結びついているといえます。

しかし、逆に西洋薬には漢方薬にない利点もあるわけですから、その時々の患者さんの病態に応じてどちらか、または最良の組み合わせで用いられることが期待されます。

 

  

西洋薬

漢方薬

病気と治療の考え方

心と身体は別々の次元のものであり、身体は一種の精密機械と考える。

したがって病気とは生物学的メカニズムの故障であり、治療とは、故障した所の修理と考える。

心と身体は切り離せないものと考え、心身をつながりを持つ一つのシステムと考える。

したがって病気とはシステムの平衡状態の崩れととらえ、治療とはさまざまなシステムの要素のバランスを回復する事と考える。

得意分野

外傷の処置、多くの救急事態の処置、抗生物質による細菌感染の予防、美容整形など。

慢性・消耗疾患、精神疾患の効果的対処、大半のアレルギー疾患、自己免疫低下の疾患など。

素材

一般に、合成された単一成分からできています。

多数の有効成分を含んだ生薬(*)が組み合わされた処方となっています。

作用

大部分は実験的に研究された薬理作用として知られています。

個々の生薬の薬能(経験的に知られた作用)が絡み合い、協力して働きます。

作用点

特定の部位に働き、一定方向に用量に伴う作用を発現します。

局所から全身まで広く働き、人の持つ自然治癒力を高めます。

副作用

作用の強さに伴って副作用は強く、多くなる傾向にあります。

漢方薬でも副作用はありますが、経験的に危険なものは使われなくなっています。

使用方法

病名症状に基づいて使用されます。

体質や症状を漢方的にとらえた使用目標(証)弁証に基づいて使用されます。

(*) 生薬とは、天然の植物・鉱物・動物などの全部または一部を簡単な加工のみで薬として用いる

  ものをいいます。一つ一つの生薬には、様々な作用をもつ多くの成分が含まれています。