2013/06/05
《アレルギー疾患の中医学的考え》
Ⅰ.アレルギー疾患の病態
アレルギー反応は、外的環境の変化に対抗する機能や外的異物の侵入を防止する生理機能の異常反応と捉えられます。
これを中医学的にみると生理的にこれらの機能をまかなう臓器は「肺」ですから、アレルギーの病位は「肺」と考えられます。(表1)
肺の中医学的はたらき(表1)
生理機能 |
病理変化 |
気をつかさどる(呼吸機能) |
呼吸異常 |
宣発(せんぱつ)と粛降(しゅくこう)をつかさどる |
呼吸困難・咳嗽・鼻づまりなど |
華は皮毛にあらわれる |
皮膚の乾燥・痒みなど |
鼻に開竅(かいきょう)する |
鼻水・鼻づまり・臭覚異常など |
Ⅱ.アレルギー疾患と「排除」
中医学的に考える「肺」は、表1のように呼吸・皮膚・鼻に大きく関与しています。
3大アレルギー(気管支喘息・アトピー性皮膚炎・花粉症)が、肺・皮膚・鼻に症状を呈するのは
偶然ではなく、これらが「肺」を病位とする疾患であることを意味しています。
生理的にこれらの部位では、外敵を外に追い出す形で「排除する」防衛機能を担っています。
したがって、くしゃみ・咳嗽・腫大・発赤・鼻水など外に向かう症状が主となります。
Ⅲ.アレルギー疾患の生活指導
アレルギー疾患では、上記の病態分析に基づいて生活指導を行うことが、根本治療には不可欠です。
冷飲食によって脾胃(胃腸)の陽気を少なくするケースが多く、小児では牛乳の多飲、アイスクリームの多食(通年性)、成人ではビールの多食(通年性)、女性では涼性の野菜多食(通年性)や薄着、
老人では緑茶や牛乳の多飲、ヨーグルトの多食などが注意点としてあげられます。
近年は口渇と無関係に多量の水の摂取を進める傾向性が強く、脾胃に負担をかけ外来性の湿を増加
させ、アレルギー悪化の重大な要因となっています。
また、空腹を感じないのに無理矢理規則正しく食べようとする傾向も、特に老人や脾胃の弱いタイプに多く見られます。
その他、睡眠不足、運動不足、気楽な明るい生活の欠落もアレルギーと関連する現代生活の大きな
弊害となっています。
《アレルギーを遠ざける為のポイント》
➢冷たい飲食物を少なくする
➢牛乳・緑茶などの涼性の飲料を少なくする
➢のどが渇いていないのに無理矢理飲まない
➢空腹感がない時は少なめにする
➢薄着を避ける
➢適度な運動をする
➢睡眠をとる
➢気分を明るく肯定的に考える